SIDE アリババ




舞うように、されど力強く。
彼の人の一つ一つの動きに魅せられ憧れ目指したいけれど、自身がそこまで辿り着くのは果たしていつになるのか…。そうして同時にソレに到るまでの彼の人の努力を遍歴を、ゆるりと脳裏に画くも端から霧散して消えていく。自身を語らず今を見る彼の人の過去など、まさか自分に画ける筈も無いのだとどこか寂しい気持ちになった。







「ん、まあ良いだろ。ただ受ける時は手の位置気を付けろよ。スッパリ斬られねぇようにな」

そう言って笑う相手にありがとうございましたと頭を下げ疲労に喘ぐ身体に息を吐く。師匠は息の一つも乱してやいないというのに。

(あー…やっぱり、格好良いよなぁ)

ちくしょうと悔しく思う傍ら、やはり尊敬と憧憬の念を抱いてしまう。合わせた剣は軽くいなされ彼に届く事は無い。まるで舞い踊るように剣を振るう人…こんなに凄い人が自分に剣術を教えてくれているのだ。もっと上達しなければと拳を固める。

「もう終業時間だなァ…よし、飲みに行くぞアリババ」
「ぇ、あ、あの師匠」
「言っとくが今日は逃がさねぇぜ?たまには付き合え」

がっしりとしっかり組まれた肩に諦めるしかないかと項を垂れる。…しかしその前、に

(近い…!)

近い近い近い。
近いって!!
寄せられた身体は相手に触れ、果たして自身の五月蝿い鼓動は聞かれてやしないかと別の意味でもドキドキしてくる。ああこれだから嫌なのだ。この人と行動を共にする時は必ずと言って良い程スキンシップの率が高くなる。だからこそ必要以上に一緒に居る事のないよう、普段の飲みの誘いすら断っているというのに。…そりゃあ師匠は俺の気持ちなんて知らないから仕方ないのだけれど。

(でもこの距離は無理!)

「ん?どうかしたのかアリババ?」

顔赤いけどなんて…ああもういっそあなたのせいだと叫べたらどれだけ良いか。それでも何でも無いと火照る頬を引き締めながら答えるしかなく。

(心臓が破裂してしにそうだ)

なんて。
ばかみたいだけど。


微かに震える身を押し留めつつ、ズンズンと歩みを進める師匠に半分引きずられるように足を動かした。







SIDE シャルルカン



漏れ出そうな笑いを抑えながら、困った顔をする弟子に視線を落とす。

(ったく、本当こいつは分かりやすいなァ)

朱に染まる頬に潤む瞳…あんなあからさまな態度をとられて気付かない方がおかしいだろう。馬鹿で可愛い愛弟子は、それでも俺に好意を気取られてないと思っているのだから…全く本当たまらない。

(ま、俺から言うつもりは無ぇし)

精々頑張れと組んだ肩を更にこちらに寄せる。師匠、なんて、そんな顔してそんな声を出すから。

(だからやめられねぇんだよ)

もう少し今を楽しみたいからこそ自分から仕掛ける事はしない。それに何より勿体無いだろう?こいつが一体どんな風に気持ちを伝えてくるか…ああ本当に楽しみだ。

(その日が来るまで困ればいい)

恋情のままに甘やかすのはそれまでお預けっつーことで。今はただこいつで遊ぶのに専念しようだなんて、我ながら意地の悪い発想が出てきて。しょーがない、俺の一挙一動に振り回されるこいつが可愛いのだから。

「今日は朝まで飲むぞーっ」
「ええっ!?勘弁して下さ…ちょ、ししょー!!」



そう…あと少しだけ、な?





***



猫凪様、この度は5000打企画にご参加下さりありがとうございました!

師匠(→)(←)ババくんで師匠のこと大好きな師匠の一挙一動にドキドキしてる可愛いババくん。更に告白はババくんから…との事でしたがうおおおすみません告白シーンが入れられませんでしたうわあああ申し訳ないです!ええっと代わりにといいますか、蛇足に近いですが下にオマケとして告白シーンを少々入れましたので宜しければ!

もう何だかアレな話ですみませんすみません、苦情はいつでもどうぞ!(土下座)

それでは本当にありがとうございました!(*´▽`*)




***


以下よりオマケ(会話文)



「し、師匠」
「?」
「ぅ、えっと、その」
「どうした?」
「ちょちょちょっと待って下しゃ、…っ!いや違、すみませ」
「(…噛んだ)」
「あの、えっと……っ、ぅ、俺!し、師匠のことがす、好きです!!」
「なんだ、やっとか」
「え?」
「いつ言ってくんのかと思えば随分かかったな」
「ぇ、師匠?」
「バレバレなんだよ。お前の気持ちなんざずっと前から知ってたっつーの」
「ええええええ!?」
「お前って本当バカで可愛い奴だな」
「師匠それ褒めてません!」
「ん」
「…?何ですかその手」
「こっち来い」
「え、それは」
「いーから」
「うう…」
(抱き締め)
「はは、固くなり過ぎ」
「…そうもなりますよ」
「アリババ、こっち向け」
「何です…っ、んむ!」
(チュー)
「俺も好きだぜ?お前のこと」
「な、え、は、っ、?」
「とりあえずこれからもよろしくな」

ニヤリと悪戯っぽく笑った師匠に、この人には一生敵わない気がする…クラクラする頭の端でそんな風に感じたアリババであった。




終わりですヽ(^。^)丿
お粗末!!